2024 年7月17日
三菱地所株式会社
大阪ガス都市開発株式会社
オリックス不動産株式会社
関電不動産開発株式会社
積水ハウス株式会社
株式会社竹中工務店
阪急電鉄株式会社
三菱地所レジデンス株式会社
うめきた開発特定目的会社
三菱地所株式会社を代表企業とするグラングリーン大阪開発事業者JV9 社※2(以下「事業者JV」)は、「"Osaka MIDORI LIFE"の創造」~「みどり」と「イノベーション」の融合~を計画コンセプトとする「グラングリーン大阪(GRAND GREEN OSAKA)」(以下「本プロジェクト」)において、米国のグリーンビルディング協会(USGBC®)が運営する国際的な環境性能認証制度「LEED®」のまちづくり部門「ND(Neighborhood Development:近隣開発)」のプラン認証と、ランドスケープのサステナビリティを主に評価する「SITES® (The Sustainable SITES Initiative)」の予備認証において、都市公園を含む複合開発で日本初となるGOLD評価を同時取得しましたので、お知らせします。
本プロジェクトでは、緑がもたらす環境価値を5つの指標で包括的に評価・可視化するなど、サステナビリティの実現とWell-beingなまちづくりを目指した取り組みを進めており、上記の認証の他にも、「DBJ Green Building 認証」、「ABINC ADVANCE認証」、「ZEB Oriented認証(事務所部分)」「CASBEE スマートウェルネスオフィス認証」を取得しました。
加えて、「RE100」に対応した実質再生可能エネルギー由来電力(以下、再エネ電力)、カーボンニュートラルな都市ガスを採用し、脱炭素社会の実現に向けた取り組みを進めています。こうした取り組みが評価され、国土交通省および環境省が令和5年度に創設した表彰制度「脱炭素都市づくり大賞」の第1回表彰において「特別賞」を受賞した他、「サステナブル建築物等先導事業(省CO2先導型)」に採択されています。
■本プロジェクトで取得した6つの環境認証
※1:USGBC・GBCIからの提供情報をもとに株式会社ヴォンエルフ(認証取得支援コンサルティング会社)が確認しています。
※2:JV9社の1社であるうめきた開発特定目的会社は株式会社大林組が出資するSPCです。
※USGBC®および関連ロゴは、US Green Building Council® が所有する商標であり、許可を得て使用しています。
※SITES®および関連ロゴは、Green Business Certification Inc.TMが所有する商標であり、許可を得て使用しています。
今回取得した認証について
■LEED-NDプラン認証 (GOLD評価)
LEEDはUSGBC(U.S. Green Building Council)が開発したビルト・エンバイロメント(建物や都市の環境)を評価する認証制度で、審査はGBCI®(Green Business Certification Inc.™)が行います。LEED NDは、建物単体ではなく、エリアの環境性能評価を目的としたLEED 認証システムで、ウォーカビリティ、職住近接、多様な用途、コンパクトシティ、自然資源保護などを評価します。
■SITES予備認証 (GOLD評価)
ランドスケープのサステナビリティを評価する米国の認証制度で、GBCIが審査を行います。計画・設計の内容だけでなく、敷地の選定や計画プロセス、施行時・施行後の運用維持管理段階も評価対象となり、生物多様性保全や水資源保全、省エネルギー、資源循環、ヒートアイランド現象緩和、健康増進、教育など多面的な要素を評価します。
GBCI North Asia Managing Director Andy To 氏コメント
私たちは、このプロジェクトがLEED NDプラン認証とSITES予備認証を同時に取得したことを、大変誇りに思い、その卓越した成果を心より称えます。この成果は、持続可能な開発の分野での前例を打ち立てるだけでなく、将来のプロジェクトにとってのインスピレーションとなるモデルとしても機能します。この権威ある認証を達成するためのビジョン、献身、そして努力に対して、チーム全体を称賛します。グラングリーン大阪開発事業者の持続可能性へのコミットメントは、より緑豊かで、健康的で、持続可能な未来への道を開いています。
■ABINC ADVANCE認証
いきものと人が共生できるしくみを、企業活動を通じて創造することを目的に作られた認証制度。一般社団法人企業と生物多様性イニシアティブが作成したガイドラインなどを基準として、企業における生物多様性に配慮した緑地づくりや管理利用などの取り組みを、一般社団法人いきもの共生事業推進協議会(ABINC)が評価・認証します。
■DBJ Green Building 認証
環境・社会への配慮がなされた不動産を支援するために、2011年4月に株式会社日本政策投資銀行(DBJ)が創設した認証制度。対象物件の環境性能に加えて、防災やコミュニティへの配慮などを含むさまざまなステークホルダーへの対応を含む総合的な評価に基づき、社会・経済に求められる不動産を評価・認証するものです。
■CASBEE スマートウェルネスオフィス (Sランク認証)
CASBEE-ウェルネスオフィスは、建物利用者の健康性、快適性の維持・増進を支援する建物の仕様、性能、取り組みを評価するツールです。建物内で執務するワーカーの健康性、快適性に直接的に影響を与える要素だけでなく、知的生産性の向上に資する要因や、安全・安心に関する性能についても評価します。
■ZEB Oriented認証(事務所部分)
ZEB は「ネット・ゼロ・エネルギー・ビル」の略称で、先進的な技術の採用により室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネ化をしたうえで、再生可能エネルギーの導入によりエネルギー自立度を極力高め、年間の一次エネルギー消費量の収支をゼロとすることを目指した建築物です。ZEB Orientedは、外皮の高性能化および高効率な省エネルギー設備に加え、更なる省エネルギーの実現に向けた措置を講じた、延べ面積が10,000㎡以上の建築物を対象とします。
具体的な取り組みについて
(1) 豊かなランドスケープの形成を通じたサステナビリティへの取り組み
85年間にわたり鉄道物流の拠点であった梅田貨物駅跡地である本街区全体において、ネットポジティブの理念により地球に貢献するという考え方に立ち、地区面積約91,000㎡のうちおよそ半分の約45,000㎡を都市公園とします。また、地区面積の約3分の1となる約30,000㎡において、約320種(在来種約270種を含む)、1,600本以上の樹木で多様な緑地を形成し、西日本最大のターミナル駅前に圧倒的なみどり空間を創出します。
このみどりと一体で整備される複合開発を通じ、サステナビリティの実現、Well-beingなまちづくりを目指します。
本プロジェクトでは、これまで見えづらかったみどりの環境価値を、5つの指標※3を用いて、包括的・具体的に数値・ビジュアル化し、環境への貢献の可視化を行いました。
※3:本プロジェクトの環境価値評価の詳細は以下をご参照ください。
https://www.nikken.jp/ja/news/press_release/2024_07_17.html
① 温室効果ガスの削減
うめきた公園を含む開発エリア全体に植樹される1,600本以上の樹木の樹種・本数・胸高直径から年間のCO2固定量を算出すると、年間の総CO2固定量は35.9tという結果となり、これは出力370Wの太陽光パネルが発電する際のCO2削減量に換算すると約190枚分に相当します。
② 空気の浄化
樹木による年間の大気汚染物質(SO2、NO2、O3)の吸収量を推計し、空気の浄化効果を算出。高木植栽により、年間の総SO2吸収量、NO2吸収量、O3吸収量はそれぞれ、4.2kg、10.7kg、16.6kgとなり、NO2吸収量は車の走行による排気ガスに換算すると、地球を約3.1周走行するときに排出される量に相当します。都市部では郊外に比べて、大気汚染の発生源が多い傾向があり、幹線道路周辺等から発生される大気汚染物質の吸着・吸収など、本プロジェクトの樹木はSO2、NO2、O3を吸収し、エリアの快適な生活環境の形成に貢献します。
③ 温熱環境の改善(クールスポット創出)
気象条件をもとに大阪の夏季の体感温度と表面温度をシミュレート。夏の日射が厳しい時間帯(15時)で緑陰の効果により体感温度が4~6℃、表面温度が13~16℃程度下がることが確認できました。高木による緑陰は表面温度と体感温度を下げるとともに、夜間には周辺へ涼しい空気がにじみ出すと考えられ、ヒートアイランド現象の抑制にも寄与する都心の貴重なクールスポットになると期待されます。
④ 生物多様性の促進
衛星画像の解析による樹林地データをもとに現況と本プロジェクト完成後に予想される生態的ネットワークをビフォー・アフターで可視化。グラングリーン大阪は樹林率※4を12%まで増加させ、樹林率の増加が大阪の生物ネットワークの形成に寄与し、周辺の動植物生を含むネットポジティブインパクトが期待されます。都心の一等地に多様な生物が生息する環境を整えることで、来訪者が生物と触れ合う機会を提供し環境教育の効果を生み出すとともに、鳥のさえずりや生物の多様な音色が人々のストレス緩和や脳機能を高めることが期待されます。
※4:衛星画像データから、GIS(地理情報システム)で都市における樹林の割合を等高線状に可視化したもの。
シジュウカラ等の樹上性鳥類の都市におけるネットワーク(移動のしやすさ)の指標とした。
⑤ 雨水流出の抑制
雨水の貯留施設や浸透トレンチ、砕石貯留槽などの雨水流出抑制施設の効果や緑の大地の浸透能力を可視化。年降雨量の約半分(約73,500㎥/年)を流出抑制施設などにより貯留コントロールするとともに、一部の雨水は植栽の灌水として有効活用されます。雨水の浸透は約34,500㎥/年に達し、緑の大地を通した浸透や蒸発散による水循環の健全化にも寄与し、土壌や空気の環境を改善することが示唆されます。
(2) カーボンニュートラルの実現に向けた取り組み
電気については関西電力グループが再エネ価値取引市場で調達するトラッキング付非化石証書が付与された「RE100」に対応した再エネ電力を、また、ガスについてはDaigasグループが提供するカーボンニュートラルな都市ガスを導入予定です。
また、標準的な建物のCO2排出量に対し、削減率35%以上を目標に掲げ、以下のような環境負荷低減技術を採用しています。
・地域冷暖房
地域冷暖房の導入により街区間での熱融通を行い、まち全体のエネルギー効率を向上。
・帯水層蓄熱
夏季は冷房利用時に生じる温排熱を地下40m~50m付近の帯水層に蓄え、冬季の暖房熱源に活用。冬季は暖房利用時に生じる冷排熱を帯水層に蓄え、夏季の冷房熱源に活用。蓄えた排熱を利用することで、効率的な冷暖房運転を実現し、ヒートアイランド抑制に貢献。
・バイオガス発電/バイオディーゼル発電
建物内から排出される生ごみおよび厨房排水に含まれる有機物をメタン発酵によりメタンガスに変換。また、使用済み食用油をバイオディーゼル燃料に変換し、これらを活用して電気および熱(温水)を生成することで、エリア内での資源循環を実現。
・下水熱利用/地中熱利用
外気温より夏は低く、冬は高いという下水・地中の特徴を利用した効率的な冷暖房・給湯システムを採用。
・家庭用燃料電池
分譲棟では全邸宅に家庭用燃料電池「エネファームtype S」を設置。非常用発電機と組み合わせて停電時に棟内で電力を融通し合う自立型エネルギーシステムを導入。
(3) 木材の積極的な利活用
うめきた公園を南北に横断する全長350mの「ひらめきの道」や、建築物のテラス(北館外構など)の床材をはじめ、開発エリア内では様々な場所で木材を取り入れていますが、強度の優れた南洋材を採用するにあたって、適正な行政許可と森林管理・加工・流通によって得られる国際的な森林認証を取得した材料を選定しています。また、南洋材以外の国産材についても適正なトレーサビリティに基づくものを採用しており、森林の保護に努めています。
公園施設等一部エリアでは、MEC Industry 株式会社※5の新建材「MIデッキ(型枠材兼仕上げ材)」を採用。RC造・S造で使われる鉄筋トラス付き鋼製デッキと木板を組み合わせた新たな建材で、伐採適齢期を迎えた国産木材を活用することで、国土保全や炭素固定にも貢献します。
※5:MEC Industryは、「木(もく)」を活用する社会の実現を目的として、三菱地所や竹中工務店を始めとした7社の出資を受け、2020年1月に設立。国産丸太の調達から製材、製造、各製品の販売までを一気通貫で行う国内初の工場「鹿児島湧水工場」ならびに「鹿児島湧水素材センター」が2022年6月より本格稼働。CLTなどの建材や「MIデッキ」などの新建材、プレファブリケーション化した戸建住宅を商品化している。自社で工場を持つことで、林業における川上から川下までのビジネスフローを統合し、中間コストを抑制したビジネスモデルを確立し、低コストかつユーザーニーズに合致した高品質な製品を供給している。
以降の詳細は下記PDFをご参照ください。