海外「MIZUKI PARK」プロジェクト

Project Story 海外「MIZUKI PARK」プロジェクト

ベトナムで始動した大型複合開発。
今後の海外事業を大きく加速させ
成長戦略のカギを握る一歩にも。

ベトナム・ホーチミン市で2017年より始動した「MIZUKI PARK」は、約4000戸の分譲マンション、約100戸の低層住宅等からなる敷地面積26ha超の大規模複合開発プロジェクト。敷地内にはシンボルとなる人工河川や緑豊かな自然環境に加え、商業施設や教育・医療施設も計画され、付加価値の高いライフスタイルを提供します。2023年10月現在、プロジェクトの約2/3が竣工済みで、さらなる開発が進められているところです。

内田
内田内田

海外住宅事業部
Hankyu Hanshin Properties Vietnam Co., Ltd.出向
工芸科学研究科 造形工学専攻修了| 2015年入社

豊かな水と樹をイメージさせる
自然に包まれた住環境を具現化。

もともと当社は2015年から本格的に海外住宅事業をスタートしており、その皮切りとなったのがベトナムでした。背景には、ベトナムの人口増があります。2023年に1億人を越えたベトナムでは人口の約65%が40歳未満と若く、2040年頃までは人口増加が見込まれています。こうした豊かな労働人口を背景に力強い経済成長と中間所得層の拡大が進んでおり、ホーチミンでも根強い住宅需要が存在します。そこで当社は現地のパートナー企業であるナムロン社および日系の共同事業者である西日本鉄道社と共同で、まず3つの単発プロジェクトを開始。経験値を高めたところで、満を持して大規模複合開発プロジェクトに挑戦することになったのです。

今回の「MIZUKI PARK」プロジェクトは2017年3月に、上記の3社による事業がスタートしました。ホーチミン中心部から車で20~30分という好立地、26ha超の広大な敷地に、約4000戸の分譲マンション、約100戸の低層住宅を建設するという面開発プロジェクトです。さらに敷地内には商業施設や教育・医療施設、人工河川も計画し、このプロジェクト全体がひとつの大きな街となっています。

プロジェクト名に冠した「MIZUKI」は豊かな自然環境の構成要素となる「水」と「木」を結び合わせた意味が含まれています。ナムロン社とこれまで行ってきた分譲マンションプロジェクトでも「FLORA—FUJI—(フローラフジ)」や「FLORA—KIKYO—(フローラキキョウ)」といった日本語の花の名前をつけており、今回も私たちが提案したネーミング案が最終的に選ばれました。

このネーミングからもわかる通り「MIZUKI PARK」のコンセプトは、自然豊かな街づくり。ベトナムのお客様の志向として水辺に近い場所や水辺の眺望に価値を感じられるというニーズがあることから、敷地内に人工河川を計画したり、豊富な植栽を施したりすることで、ホーチミンの中心部至近ながらも、水と緑の豊かな新しい街を目指しています。

内田

ベトナムならではのニーズや課題に
真摯に向き合うことで解決へ導く

私がベトナム担当として「MIZUKI PARK」プロジェクトに携わるようになったのは2020年4月。フェーズ1(低層住宅 約30戸・分譲マンション約1400戸)が竣工し、フェーズ2(分譲マンション約750戸)、フェーズ3(分譲マンション約600戸)の設計を進めている段階でした。
主な仕事内容は、プロジェクトマネージャーとして関係各社と協議・調整を行いながら、プロジェクト全体の進捗管理を行うこと。例えばキャッシュフローや利益計画の確認、開発スケジュールの協議、設計図面のチェック、販売戦略の立案、現場検査、竣工後の管理状況のチェックなど、多岐にわたります。日本国内にいた時のプロジェクトマネジメント業務の経験がかなり活かされていると思います。

プロジェクトを進めるにあたって苦労したのは大きく2点あり、1つはマスタープラン(プロジェクトの全体計画)の改定です。ベトナムでは水辺に面する住宅の評価が高いため、本プロジェクトも敷地内に人工河川をつくる計画でした。しかし当初のマスタープランは建物同士が被っているなど、十分に水辺の景観を活かしたものではありませんでした。そこでナムロン社とともにマスタープランにおける配棟計画の見直しを行い、水辺に面する住戸を最大限確保できるように変更。プロジェクト全体の価値向上へつなげることができました

もう1点は竣工後の管理です。日本の場合、マンションが竣工するとすぐに住民の管理組合が発足しますが、ベトナムでは管理組合が発足するまでに2年ほどかかるケースが多く、その間はデベロッパーが管理組合に代わって管理運営を担う必要があります。しかしベトナムでは集合住宅の歴史がまだ浅いことから、管理費がきちんと設定できていない、管理費を予定通り徴収できない等の理由からキャッシュフローが回らない状況になり、管理の質の低下ひいては住民の不満につながるような事例もありました。そのため我々のプロジェクトでは、竣工後に適切な管理ができるよう、設計段階から管理会社に協力してもらい、管理目線での計画のチェックや、管理費の算定、管理計画の策定を行っています。
面開発プロジェクトの場合、初期フェーズの開発が終わっても、引渡後の住民の満足度や、住民同士のコミュニティ、デベロッパーと住民との関係が、プロジェクトの評価、後発フェーズの開発にも影響を与えることになりますので、その重要性をより強く感じています。

MIZUKI PARK

大切なのはマーケットインの姿勢。
今後も海外事業をさらに成長させる原動力へ。

私がプロジェクトを推進する上で心がけているのは、マーケットイン(市場に寄り添いながら、顧客が必要とするものを提供していく)のスタンスです。日本の商品づくりやプロジェクト管理のノウハウをそのまま現地に持ってくるのではなく、現地の文化・慣習や抱えている課題に対してアプローチしていくということです。
実際に文化や慣習は日本と異なるところがたくさんあり、例えばマンションの内装に関しては、お客様自身で家具やインテリアをコーディネートされる志向が強いため、床・天井・壁といった基本スペックのみで、収納などは設置せずに仕上げています。また、レイアウトではバルコニーとは別に、ロザと呼ばれる家事用の半屋外スペースを設けていたりもします。
日本での経験や知識が活きる部分もありますが、一方で現地のニーズを観察しながら、手探りで進めていく必要があることも多いです。

今後は、まずは残り1/3の開発を無事完成できるよう推進していくことが目標。華やかなビッグプロジェクトに見えて、実務レベルでは地味な仕事もたくさんありますが、一つひとつを丁寧に積み重ねることがベトナムのお客様に喜ばれる住まいとなり、私たち阪急阪神不動産の評価にもつながると考えています。
2015年に当社が海外事業に進出してから約8年。スタートした当時は国内事業の補完的な位置づけだったものが、今ではグループ全体の成長戦略の核のひとつとして大きく期待されています。私自身、目下のミッションとしては「MIZUKI PARK」を含めた、進行中のベトナム事業の事業性を向上させることではありますが、一方で、中長期的にはそれらの開発を通してベトナム現地のお客様に評価してもらえるプロジェクト開発を行うことが重要だとも考えています。現地での当社の認知度や評価があがれば、今後の事業機会を拡大することにも繋がりますので、現地のお客様と向き合いながら、海外事業をさらに大きく安定的な収益基盤へと成長させていく原動力になりたいと思っています。

内田