近畿圏「MUSEたかつき」プロジェクト

Project Story 近畿圏「MUSEたかつき」プロジェクト

地域の未来を拓き、次代の街を創る。
壮大なプロジェクトに挑んだ日々。

「MUSE(ミューズ)たかつき」(JR高槻駅北東地区開発事業)は、一企業が所有していた総面積約9.3ヘクタールという広大な敷地の再開発プロジェクト。学校法人関西大学、株式会社そごう・西武、社会医療法人愛仁会、そして阪急阪神不動産の4社で構成する「まちづくり協議会」と、公共施設整備を行う高槻市および区画整理組合が一体となり、高槻の“新たな玄関口”を創出した都市開発事業です。2004年に事業構想が本格化し、8年後の2012年にまちびらきを迎えました。

小津

用地開発部 用地開発グループ 用地開発担当 課長 兼
マンション事業部 事業推進グループ 課長
(インタビュー当時は、マンション事業推進部 事業推進担当 課長補佐)
法学部 法律学科卒 | 2001年入社

ひとつの街をつくるという新たな取り組み。
新しい街に相応しい魅力づけを意識。

このプロジェクトの最も大きな特徴は、公共施設整備を行う高槻市や土地区画整理組合と、業種が異なる企業・法人が一体となり、新しいまちづくりにチャレンジした点です。私自身、これまでマンション開発に携わる中で大規模開発の経験も多少ありましたが、「MUSE(ミューズ)たかつき」はひとつの街をつくるという新たな分野への取り組みであり、プロジェクトへの参加当初はスケールの大きさに圧倒されたのを覚えています。

「まちづくり協議会」では、多岐にわたる検討事項の調整のために、4つの部会に分かれて行いました。私は、施設計画の設計と建設工事全般に関する2つの部会を担当しました。当時は他事業者を含めたメンバーの中で一番若手でしたが、臆せずに意見をきちんと述べることを心がけていました。そうして少しずつ信頼関係を築くことによって、一人の事業パートナーとして接してもらえたのではないかと思います。

まちづくり協議会の業務と並行して、分譲マンション第1弾「ジオタワー高槻ミューズフロント(450戸)」の企画開発に取り組みました。タワーマンションで当時事例が少なかった制振工法や環境配慮への対応など、新しい街に相応しい魅力づけを意識しました。また、お客さまにわかりやすく魅力を伝えるために、マンション販売担当とともに広告展開やモデルルームの企画・コーディネートに一丸となって取り組んできました。おかげで販売開始当初からお客さまの反響は予想以上に大きく、好評のうちに完売することができました。その後、第2弾のコンパクトマンション企画として「ジオ高槻ミューズEX(172戸)」、緑と憩いの空間をテーマにした第3弾「ジオタワー高槻ミューズガーデン(477戸)」、最終プロジェクトの「ジオ高槻ミューズレジス」と続けて分譲しました。

小津

美しい街を維持していく先進的な取り組みと、
人々の交流が深まっていく街を具現化。

開発の基本方針として掲げられたのが、「多くの人が訪れ、暮らし、住み続けたくなるまちづくり」という考え方です。駅から続く街区の入口にはペデストリアンデッキを挟んで商業施設を設け、新たな賑わいの創出を図りました。また、公園整備や歩道拡幅など区画整理事業による公共施設整備も同時並行で推進されたことにより、安全・安心な空間が生まれました。このような街の基本方針をより具現化した取り組みをご紹介します。

まずは“まちの一体的維持管理”です。所有者が異なるペデストリアンデッキや公共歩道・公開空地・公園などの清掃管理を一体的に行い、施設単位ではなく街区全体として美しい街を維持していく先進的な取り組みです。全国的にも事例は少なく、資産価値向上につながるのではないかと考えています。

もうひとつは“人々のコミュニティ形成”です。街区内で分譲される合計1,300戸を超えるマンション住民のコミュニティ活動の場として、「MUSEたかつき倶楽部」という組織を立ち上げています。入居当初の交流会をはじめ、真夏の打ち水イベントや街区内の清掃活動など、すでに様々な活動が行われています。また、関西大学の協力を得て、情操教育や生涯学習を目的とした講座が受講できる取り組みも始まっています。デベロッパーは街をつくる立場ですが、街を発展させていくためには住民の皆様の力が不可欠です。これら様々な活動の場を提供し、人々の交流が深まっていくことで街の発展は続いていくものです。

まちびらきから幾分時が経過した今、街区内にたくさんの人々が行き交い、生活の場として浸透しつつある姿を実感できてうれしく思っています。

ペデストリアンデッキの「歩き初め」(“まちびらき”にて)
ペデストリアンデッキの「歩き初め」(“まちびらき”にて)
街全体がペデストリアンデッキ(青線部分)で結ばれている
街全体がペデストリアンデッキ(青線部分)で結ばれている

経験から得られる大切さ。
多様な交流は成長の糧。

足かけ7年にわたって参画している「MUSEたかつき」プロジェクト。通常の業務では出会うことのない多くの方々とこのプロジェクトを通じて協働することで、様々な刺激を受けました。様々な交渉の場面において大学・百貨店・病院などの関係者と意見を交わす機会に多く恵まれたことで、様々な立場とそこに立脚したものの見方を肌で知ることができたのは大きな収穫でした。

このプロジェクトの中心的役割を担った方々に共通していたのは、事業を成し遂げる強い信念と当事者意識の高さ、相手の立場で物事を思考できる柔軟性、新しいことにチャレンジする創造性でした。こうした方々との交流を通じて、自分が今後成長するために何が必要かを考えるきっかけになりました。

小津