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2022年に大阪梅田エリアの価値向上に受けた構想「梅田ビジョン」を発表してまもなく3年、うめきた2期計画や芝田1丁目計画をはじめ、大阪梅田の発展に向けた取り組みが着々と進んでいます。
今回の特集では、「梅田ビジョン」策定の背景を始め、阪急阪神不動産がまちづくりの先に描く夢をご紹介。
部門や立場を超えて共に歩みを進めるためのヒントが見えてきました。
INDEX
梅田ビジョン策定の背景
2025年に開催される大阪万博をはじめ、大阪自体の成長の好機が訪れることを踏まえ、梅田エリアが今後も国際的な都市間競争に勝ち残り、選ばれ続ける街になるために策定したのが「梅田ビジョン」です。グラングリーン大阪に代表する「うめきた2期計画」や「芝田1丁目計画」などの大型開発事業をはじめ、同エリアに保有する資産の建替えなどを連続的に行うことで、都市空間の魅力を向上させるとともに、次に記す「6つの基本方針」に基づき取組みなどを進めていきます。
※芝田1丁目計画
阪急大阪梅田駅周辺のバリューアップを目的に、大阪新阪急ホテル・阪急ターミナルビルの建替や阪急三番街の全面改修を行うとともに、ターミナル駅としての機能を強化しながら、大阪梅田エリアの玄関口にふさわしい複合機能拠点の開発を目指す事業計画
目指す姿
梅田ビジョンでは、2030年を見据えたまちづくりの方向性として、6つの基本方針をまとめています。ニューノーマル時代の都市として必要な「基本価値」を強化するとともに、国際的な都市間競争を勝ち抜くための「独自価値」を追求し、2つの都市機能「新産業創出拠点」「国際観光拠点」を創出し、「国際交流拠点(世界の人々が"働きたい街"、"訪れたい街")」となることを目指します。
わたしたちはどう進む?まちづくりのあしたに描く夢
後列左から、大谷さん、山貫さん、中西さん、神田さん
前列左から、金部さん、安田さん、土井さん、渡辺さん
当社グループの未来を担う6名の社員と、開発推進部で芝田1丁目計画に携わる山貫さん、都市マネジメント事業部で梅田ビジョンの推進を担う大谷さんに「未来の梅田の街」をテーマに、それぞれが描く理想のまちづくりを語ってもらいました。
-土井聡子さん 賃貸事業部 賃貸総括グループ
-渡辺純一郎さん 住宅事業企画部 本部統括グループ
-金部耕平さん 都市マネジメント事業部 うめきたPJM・商業開発グループ
-中西啓晃さん 開発推進部 開発グループ
-神田拓明さん 経営企画部 経営計画グループ
-安田愛さん 賃貸事業部 賃貸統括グループ
-山貫崇之さん 開発推進部 開発グループ
-大谷文人さん 都市マネジメント事業部 都市マネジメント・うめきた事業グループ
梅田の街に求められるもの
安田さん
私は、梅田を「エネルギーの集まる街」にしたいと思っています。例えば、趣味やビジネスの成果を披露できる場・コンテンツを梅田に増やすことで、頑張っている人の活躍を後押しできますし、その姿がSNSなどで発信されれば違う誰かの力になるかもしれません。そうしてエネルギーのある人々が集まるような、活気ある街をつくっていきたいです。
土井さん
オフィスの側面では、時間や空間にとらわれない働き方が加速していくと考えています。梅田に来ることで仕事の効率が上がったり、新たな発見や交流が生まれるような機会・場所を提供していきたいです。
神田さん
実は私、子どもが生まれてから梅田に出向く頻度がグッと減ってしまったんです。たくさんの施設やコンテンツがあるからこそ、子どもを連れて歩き回るにはハードルが高くて。その意味で、子育て世代でも行ける都市公園が"うめきた"にできたのはうれしいですね。ビジネスマンや観光客、子ども連れ...多様な人が居心地の良さを感じたり、刺激を受けたりと、梅田だからこそ得られる価値を届けていきたいです。
大谷さん
公園ができて家族連れが増えたのは間違いないです。これまでもいらっしゃったかと思いますが、移動がメインであり街中で家族で長時間過ごすというシーンは少なかったように思います。
今後も、多様な人材の交流という観点では、国内外問わず家族連れにも評価してもらえる街を目指していきたいですね。
異なる価値が共存する街へ
幅広い世代、性別、属性を持つ人々が訪れたくなる街とは―。その一つを、山貫さんは「関わり」という言葉で表現します。
山貫さん
いろいろな方にヒアリングをしてみたら「梅田って人が多いから行きづらくて」という声が多く上がりました。それって、そこにいる人が自分と関係のない人々だからだと思うんです。そうではなくて、仕事や趣味で関わりのある人が増えれば「疲れる」のではなく「楽しい」場所になるはずです。今後は、より多くの人が「関わりたい」と思える場所をつくることが大切だと考えています。
中西さん
梅田は商業ビルやオフィスビルだけでなく、観光地や文化の集積地にもなっていますよね。この用途の多さを開発に生かし、同時に発信力を強めていくことで「関わり」を生み出していけるんじゃないでしょうか。
渡辺さん
住宅の観点では、梅田に「住む」という機能を増やしたいと思っています。当社が沿線で開発してきた住宅とは違う新しいスタイルのものになると思いますが「住まい」の視点からも感度の高い人々が集ってくる場所をつくれば、新しい産業が生まれやすい環境や、新たな魅力につながるのではないでしょうか。今後は住宅事業を中長期で展開できると、さらに多様性のある街になると思います。
部門や会社の垣根を超えていく
梅田が今後も魅力的な街であり続けるために、私たちにできることとは?未来へ向けて歩みを進めるために心掛けたい考え方について語ってもらいました。
中西さん
消費者が街を選ぶ時の基準って、やっぱり過ごしやすさや便利さ、楽しさなのだと思います。例えば自分自身が梅田を利用する時に「こうなったらいいな」と思う部分も大きなヒントになると思うんです。
金部さん
お客さまが求めるニーズの本質に立ち返ると、自ずと部門・会社の枠組みを超えた"つながり"が必要な場面も生まれてきますよね。中にはパートナーシップの対象が競合他社の場合もあると思いますが、目指すビジョンを共有することで互いにWin-Winの関係を築けるはず。自分自身、そうした新しいアプローチができる存在でありたいです。
土井さん
賃貸事業部では、テナントと単なる不動産賃貸借の関係にとどまらず、ワーカー向けイベントの共催など、連携を深めています。今後も当社とパートナー企業とが強みを分け合い、新事業を展開していける土壌を作りたいです。
渡辺さん
住宅部門は、当社の中でもお客さまと直に接することができる数少ないポジションですが、お客さまからいただくお言葉の中には、商業ビルやまちづくりに関するものも少なくないんです。でも、そこで受けたご意見を開発部門へ伝える機会が今はありません。今後はもっと柔軟に社内でコミュニケーションできると良いと思います。
一人のアイデアを「みんなごと」に
幅広い事業を展開している阪急阪神不動産。各部門は未来のまちづくりにどう関わっていけるのでしょうか。最後に、メンバーの皆さんへ今後の抱負を語ってもらいました。
渡辺さん
時代の変化や多様なニーズを踏まえた上で、街の付加価値につながる住まいの在り方を考えていこうと思います。そのためにも、部門を超えて議論を掘り下げるなど、梅田のまちづくりへの関わりを広げていきたいです。
金部さん
私は梅田の開発に直接携わっていますが、その責任や面白さを自分の中だけで消化せず、周囲にも伝播していくことで「自分ごと」から「みんなごと」につなげていきたいです。その場は会議体のようなカチッとしたものではなく、昼食の時間や会社の帰り道でもいい。小さなコミュニティから梅田のまちづくりについて話すことでスモールステップを重ね、会社全体の一体感醸成へつなげたいですね。
神田さん
まずは梅田の街に関心を持ってもらうことも大切です。例えば同僚に会った時に「あそこのお店、おいしかったよ」と話してみるだけで、きっかけを作れるんじゃないでしょうか。
土井さん
梅田ビジョン策定の中で、部門を超えて街のありたい姿を議論したプロセスは、商業施設のリニューアルなど、梅田以外の他地域でのプロジェクトにも活かすことができると感じています。計画段階からさまざまな部門や、計画地の周辺に住んでいる社員に意見を聞き、方針や課題意識を柔軟にアップデートしていきたいです。
山貫さん
皆さんの話を聞いていて感じたのが、梅田ビジョンを一つの旗印にさまざまな部門や社員、企業が関わり合いを持つことで「私はこうしたい」という想いを語る人が増えるんじゃないか、ということ。それによって梅田の開発や、当社が関わるさまざまな取組みが加速すると考えています。
「自分ごと」から「みんなごと」へ、アイデアの輪を広げていきたいですね。