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    2011年から皆さまと続けてきた、資源を活かす取組

廃食油からSAFへ。キッチンの油が、空を飛ぶエネルギーに。
2011年から皆さまと続けてきた、資源を活かす取組

2026.07.31 Fri

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天ぷらや揚げ物などの料理に使ったあとの油。処分に悩まれていた方も多いこの廃食油が、いま航空分野の脱炭素を支える重要な資源として注目されています。

当社は住まいブランド〈ジオ〉において、2011年から廃食油の回収を開始しました。住まいの中で発生する資源を、暮らしの中で無理なく回収し、再び社会に循環させる取組を続けています。

INDEX

 次世代の空飛ぶエコ燃料「SAF」とは?

車や電車では電気で動くエコな乗り物が増えていますが、遠くまで飛ぶ飛行機にはパワーの出る「液体の燃料」がまだまだ欠かせません。一方で、飛行機から出るCO2は世界全体の約2〜3%を占めており、環境への配慮が急がれています。 
そこでいま、新しい燃料として注目されているのが「SAF(サフ)※1」です。SAFは、ご家庭で使い終わった天ぷら油などをリサイクルして作られ、これまでの燃料と比べてCO2を大きく減らすことができます。

(※1)SAF(サステナブル・アビエーション・フューエル):従来の化石燃料に比べ、ライフサイクルでの二酸化炭素(CO2)の排出量を大幅に削減できる「持続可能な航空燃料」。

一方で、SAFを持続的に供給するためには「原料となる油をどうやって安定して集めるか」が大きな壁になっています。

こうした中、油の回収から新しい燃料をつくるまでをセットで行うプロジェクトが動き出しています。日揮ホールディングス※2、コスモ石油、レボインターナショナルの3社が立ち上げた「SAFFAIRE SKY ENERGYサファイア スカイ エナジー」もその一つで、「Fry to Fly Project」を通じて、油を資源として循環させる仕組みづくりを進めています。

SAFFAIRE SKY ENERGYの最高執行責任者で、日揮ホールディングスEIユニット部長代行の西村勇毅さん※3は、次のように語ります。
「飛行機にはどうしても液体の燃料が必要です。その中で、地球環境を守るための現実的な方法がSAFなのです。皆さんの『使った油』で飛行機が空を飛ぶ。そんな社会をつくるためには、より多くの方の参加が必要不可欠です。」

(※2)日揮ホールディングス:世界トップクラスの技術力を誇る総合エンジニアリンググループ。現在、日本初の国産SAF大規模商用生産プラントの建設を主導するなど、エネルギーの安定供給と脱炭素社会の実現に向けた事業を牽引しています。
(※3)西村勇毅さん:日揮ホールディングス株式会社 エネルギーイノベーション(EI)ユニット部長代行 兼 合同会社サファイアスカイエナジー 最高執行責任者COO

 「捨てる」から「資源」へ。〈ジオ〉からはじまった回収の仕組み

2011年に当社が〈ジオ〉で廃食油回収を始めたのは、廃棄されていた資源を活かすと同時に、住まいの中で無理なく続けられる形で環境負荷を軽減する行動を広げていくためでした。当時は回収した油をリサイクルし、「阪急バス」を動かす燃料として活用。この、住民・企業・地域が一体となったモデルは、2012年度のグッドデザイン賞を受賞するなど、当時から高い評価をいただいています。以来十余年、当社は一過性のイベントに終わらすことなく、マンションの管理ルールに組み込むなど「仕組み」としてこの活動を定着させてきました。

2026年6月末時点で、廃食油回収を実施するマンションは120物件、対象となる戸数は15,000戸以上に広がっています。累計の廃食油回収量は49,000Lを超え、関西エリアを中心にスタートしたこの活動は、今では首都圏にも拡大しています。

住宅事業企画部の中尾さんは、活動を通じて見えてきた変化をこう振り返ります。
「長年続けてきた中で、今ではこれが単なる環境活動ではなく、住民の皆さまの『お困りごと』を解消するサービスとして定着しつつあります。回収BOXの設置場所や運用方法についても見直しを重ねてきましたが、そうした積み重ねが、日常の中で無理なく続けられる形につながっているのではないかと感じています。」

 日揮ホールディングスが、当社の「地道な継続」に見た可能性

当社がマンションで長く続けてきた、この地道な油回収の取組。そこに注目し、連携の声をかけてくださったのが、日本初の「国産SAF」をつくる大きな工場づくりを進めていた日揮ホールディングスです。

実は、この出会いにはちょっとした裏話があります。最初は別の会社から「マンションでの廃油回収の仕組みを教えてほしい」と、リサイクル事業を行うレボインターナショナルを通じてご相談をいただいたのがきっかけでした。その際、当社の長年にわたる取組に着目し、ご紹介くださったのが日揮ホールディングスでした。当社の継続的な活動を高く評価いただいたことがご縁となり、その後「Fry to Fly Project」への参加のお声がけもいただくことになりました。
SAFを当たり前のものにしていくには、日本中から質の良い油をしっかり集めるネットワークが欠かせません。とはいえ、ご家庭から少しずつ油を集めるのは、時間も手間もかかる大変な作業ですが、当社が2011年から居住者さまや企業の皆さまとコツコツ築いてきた「信頼関係」にこそ、SAFを広めるためのポイントがあります。

-日揮ホールディングス 西村さん
「技術は進化していますが、それを動かす『原料の循環』を支えるのは、やはり人と人との信頼です。貴社が長年かけて住民の皆さまと共に地域で育ててこられた『環境貢献への意識と、行動の習慣化』は、日本のSAF事業を支えるための、かけがえのない基盤です」

現在当社は、前述でも触れた、日揮ホールディングスが主導する、廃食油を資源として回収しSAFへとつなげる「Fry to Fly Project」に参画しています。志を共にするパートナーとして、当社は今、皆さまからお預かりした油を「国産SAF」という確かな形へ繋げる挑戦を続けています。

 「回収」が当たり前の社会へ。当社が取り組む「まちから変えていく未来」

当社が目指すのは、一部の人が頑張る環境活動ではなく、誰もが自然に、無理なく参加できる「資源循環が当たり前の社会」です。2026年3月にコミュニティ施設「MOKU MOKU 彩都」で開催したイベント「MOKU MOKU FES」では、その可能性を肌で感じ取れる光景がありました。

「MOKU MOKU 彩都」の「みらいのたねステーション」に設置された廃油回収BOXと衣類回収BOX

廃食油の回収ブースには、「この日のために6本溜めておいたよ」「前の施設※4でも、いつも入れてたから、また持ってきたよ」と、笑顔で油を届けてくださる方々が集まったのです。

(※4)回収BOXは2026年1月にオープンした「MOKU MOKU彩都」の前身施設である「Cube3110」内でも設置

使い終わった油はもちろん、期限切れの油など「処理に困るものが、回収を通じて資源として活用される」ーーこの体験が、日常の行動につながっています。また、衣類回収BOXにも多くの反響があり、イベント後2週間で4箱分が満杯になるなど、「捨てずに活かす」ニーズが生活の中に広く存在していることが確認できました。

廃油回収の方法についても、「直接回収BOXに注ぎ込む」「ペットボトルに入れてそのまま渡す」など、実際にご協力いただいた皆さまにアンケートを実施しました。どうすればもっと気軽に参加していただけるか、これからもより良い方法を探っていきます。

  住まいからオフィス・商業施設へ、広がる循環の場

当社では〈ジオ〉をはじめとする「住まい」の提供だけでなく、オフィス・商業施設の開発や管理・運営も広く手がけています。だからこそ「住まい」以外でも当社が持つリソースを活かして新たな循環の仕組みを作れるはずだと考えました。そこで現在では、オフィスビル「大阪梅田ツインタワーズ・サウス」や、商業施設「ラクザ大阪」、「HEP FIVEヘップファイブ」で日々の施設管理動線上で無理なく回収できる取組を始めています。

オフィス・商業施設で、この取組を担当する賃貸事業部の安原さんは、今後の展望についてこう語ります。
「オフィス・商業施設での回収は、住宅とは異なります。働く方々や施設に遊びに来てくださったお客さまに特別な手間をおかけすることなく、飲食店舗の油などが日々の施設運営の裏側で資源として循環していく仕組みとなっています。こうした環境を整えることで、住まいから働く場・遊ぶ場、そしてまち全体へと、この活動の輪を広げていきたいと考えています。それが、SAFという新しいエネルギーをより身近なものにしていく一歩になると信じています。」

 つながることで成立する資源循環

SAFという仕組みは、各家庭での回収だけでなく、それを受け取り、資源として活かす回収・精製の仕組み、そして事業者同士の連携によって成り立っています。住まいの中での行動、回収を支える現場の仕組み、そして燃料として社会に実装していく取組。それぞれがつながることで、はじめて資源としての循環が成立します。

阪急阪神ホールディングスグループが培ってきた「沿線とともに歩むまちづくり」は、〈ジオ〉を起点とした回収の仕組みを通じて、こうした循環の一端を担っています。
当社はこれからも、地域やパートナーとのつながりを大切に連携しながら、日常の中で参加できる資源循環の仕組みづくりを進めていきます。