「永く愛されるオフィス」
これは、中規模オフィスシリーズ「SUITE(スイテ)」に込めたブランド思想です。
エリア特性に合わせて商品企画やデザインを柔軟に変化させ、その街らしさを活かし、企業と人が快適に働ける空間を創出します。2023年に首都圏で誕生したこのシリーズは、街の個性とテナント企業のニーズに応える環境を整え、ワーカーや来訪者に心地よい体験を提供する「働く場に"おもてなし"を」という発想で、オフィスの新しいかたちの提案を目指しています。
今回は、首都圏開発事業部・賃貸事業部・技術統括部の6名に、当社がオフィスビルに込めた開発思想について語ってもらいました。
INDEX
写真左から、原さん、髙野さん、栗山さん、百々さん、小林さん、前田さん
-栗山直也さん 首都圏開発事業部 首都圏開発グループ
-百々 恵さん 首都圏開発事業部 首都圏開発グループ
-原 崇之さん 首都圏開発事業部 首都圏開発グループ
-髙野夏紀さん 首都圏開発事業部 首都圏開発グループ
-前田侑希さん 賃貸事業部 オフィス営業企画グループ
-小林千峻さん 技術統括部 首都圏グループ
「永く愛される」というブランド思想について
――中規模オフィスシリーズ「SUITE(スイテ)」(※以下スイテ)のオフィスづくりでは、「永く愛されるオフィス」というブランド思想を掲げています。その背景には、どのような考えがあるのでしょうか。
―栗山さん
スイテのブランド立ち上げにあたっては、「首都圏オフィス市場におけるポジション確立」を目指し、当社がつくる「中規模オフィスシリーズ」のあるべき姿について数カ月に亘って議論を重ねました。その中で、働き方が変わる時代において、オフィスの正解はないからこそ、当社が考える「働き方」「働く場所」として求められる要素を追求するという方向性に着地しました。
鉄道を母体とした私たちの原点は、「沿線の未来に対して、豊かさを提供するオーダーメイド型の不動産開発」にあります。
この原点をもとに、首都圏で展開を行うこととなった中規模オフィス事業においても、「街ごとに仕立てる」「多視点を取り入れる」「シーンごとの機能を最適化する」を3つのコンセプトとして、スイテで働く人たちが、「どんどん好きになる」「好きがずっと続く」オフィスづくりを目指しています。

中規模オフィスシリーズ「SUITE(スイテ)」ロゴ
「どんどん好きになる」「好きがずっと続く」、そんなオフィスを目指す私たちの姿勢を動詞の「好く」の活用形である「好いて」を使って表現しています。また英語の「SUITE(スイート)」には、特別室、ひと続きの部屋、組曲などの意味があり、上質感とシームレスにチームが働ける場所であることも示唆しています。

心地よさを形成する「空間づくり」の工夫
――スイテは「オフィスの新しいかたち」を目指していますが、「永く愛されるオフィス」というブランド思想を設計やデザインに反映させる際に、特にこだわった点などについて教えてください。
―百々さん
スイテでは、物件ごとにその街の持つ歴史や文化や風土、そこで働く人たちの特性や志向性などを読み解き、その街の雰囲気や働く人たちのイメージに合わせて、空間構成やデザインを変えています。
一方で、スイテの共通事項として、物件に関わるすべての人の満足度を高める姿勢を大切にしています。具体化施策は物件によって様々ですが、テナント企業のニーズに応じたオフィス空間の分割対応や、会議室・什器を設置したセットアップオフィスの提案、環境に配慮した設計、BCP対応やセキュリティの導入など、「多視点を取り入れたオフィス」が、共通したこだわりのポイントです。
他にも、スイテのブランドコンセプトから着想を得たオリジナルピクト※を開発し、全物件に共通化して導入しています。多様な人の目に触れるピクトは、すべての人に理解を促しながら視認性を高めるように、ユニバーサルデザインを意識したシンプルなデザインとしました。また、全体として、フォルムのベースは直線と曲線の絶妙なバランスで作られたスイテロゴの一部を使用し、スイテのオリジナリティをピクトデザインに用いることで、ブランド力の強化を企図しています。
※ピクト(ピクトグラム)
文字言語に頼らず、絵や図によって情報や意味を伝えるために用いられる視覚記号のこと。公共施設などで、言語や文化の異なる人々にも分かりやすく情報を伝えるためにデザインされる。

スイテ新御徒町:セットアップオフィス

エンスイテ御成門:セットアップオフィス

スイテ:オリジナルピクト
―髙野さん
これらのこだわりを持ったデザイン設計から、ワーカーには「スイテに出社するとやる気がでる」「行き詰まったときはお気に入りの場所で気分転換ができる」というようなポジティブな感情を抱いていただくことで、「働くことが楽しくなり、会社が好きになる」と感じていただきたいと思っています。ひいては、ワーカーだけではなく、その家族、経営者といったオフィスに関わる全ての人の満足度を高め、街そのものにも価値を与えるビルでありたいと考えています。

スイテ新横浜:屋上テラス

スイテ新横浜:ラウンジ
地域とのつながり
――スイテは物件ごとに設計を変える柔軟性を持っていますが、それぞれの立地や地域性に対してどのような配慮やデザイン方針を適用していますか?
―原さん
例えば、「スイテ新御徒町」では、古くから続く下町情緒あふれる街であることから、歴史的な街並みを彷彿とさせる軒裏や木調を意匠に取り入れています。「スイテ新横浜」は、都市機能と豊かな自然が共存する街の個性に調和するよう、本物件の北に流れる鶴見川から着想し、共用部に波紋や水面を連想させる形状・デザインを取り入れています。
また、2027年春に竣工予定の「スイテ日本橋人形町」は、老舗商店の連なる街並みに馴染みつつ、芝居町として賑わった歴史を想起させる、幕をイメージした茶褐色のファサードデザイン※を採用しています。同時期に竣工予定の「スイテ田町」は、産学をはじめ、さまざまな人が訪れる立地特性から全体コンセプトを「多面性の合流点」とし、接道面ごとに異なる多様なファサードとすることで地域性を表現しています。
物件ごとに様々な顔を持ったビルに仕上がっていますが、すべての物件においてシンボリックでありながら街に溶け込むことを意識しています。
※ファサードデザイン
建物の外観デザインのこと。正面の見た目や意匠全般を指す。

スイテ新御徒町:外観・エントランス

スイテ新横浜:エントランス

スイテの思想を支える現場の工夫
――「永く愛される」という思想を各物件の設計に落とし込む際、どのような議論や苦労がありますか?
―栗山さん
スイテは明確に定まった仕様やデザインがありません。
そのため物件ごとに、関係者の皆さんにもスイテの思想を共有し、企画段階から設計者や施工者も一緒に「永く愛される要素は何か」という議論を何度も行います。
とはいえ、決められた期間内に設計を完了させなければならないため、常にスケジュールも意識しながら、関係者全員が同じ価値観を持ってプロジェクトを進められるよう心掛けています。
―前田さん
賃貸仲介会社の皆さまとは、エリアのオフィスマーケットやトレンドに関する情報交換を密に行っています。刻一刻と変化する時流を捉え、最適な提案ができるよう、常に情報のアップデートにアンテナを張り、社内で共有する体制を整えています。また、そのエリアに立地する周辺物件や他エリアでの同様の付加価値を提供している物件の調査もチームで入念に行い、ターゲット設定やデザイン設計に活かしています。
具体的な企画内容としては、エントランスや屋上テラスなどの共用部に特徴を持たせる場合もありますが、セットアップオフィスの導入などにより専有部を工夫する場合もあります。
例えば2027年に竣工予定の「スイテ田町」では、専有部におけるセットアップオフィスの一部を「自分らしく過ごして働ける『Your Space』」として、入居テナントが利用ニーズに合わせて3つのプランから選択可能な商品企画を導入しました。

――完成後、利用者の反応や社内評価などで、「デザインコンセプトが活きている」「狙い通りだった」と感じたエピソードがあれば教えてください。
―原さん
完成後の物件では、社内外含め、積極的に内覧いただく機会を設けており、これまでに竣工した物件で、たくさんのお褒めの言葉をいただいています。
特に当社のことを古くからご存じの企業からは、「こだわりが阪急阪神らしい」というコメントをいただくことが多く、スイテを立ち上げた際に思想の基盤とした「当社らしさ」の評価につながっている実感があります。
―百々さん
いずれの物件もテナント企業のご入居、お問合せも順調に進んでいます。まだまだ事業を展開しはじめたばかりですが、「永く愛されるオフィス」に込めた価値がしっかりとテナント企業にも伝わり、選ばれはじめていることを実感しています。
オフィスビルの新しいスタンダードへ向けて、スイテが目指すもの
――スイテが目指す「永く愛されるオフィス」の成功指標は、どのようなものになりますか?
―髙野さん
当社はオフィスビルだけでなく、住まいブランド〈ジオ〉として、関西を中心に首都圏でも分譲マンションを展開しています。オリコン顧客満足度調査「新築分譲マンション近畿」の総合ランキングで5年連続1位※1の獲得や、新築分譲後の中古物件取引市場でも高い品質を評価いただき、関西圏の値上がり率8年連続1位※2となっています。
※1 2026年2月3日付リリース
https://www.hhp.co.jp/news/docs/7bba7bb79e29a0bfb8038f91c7c906c856d72201.pdf
※2 出典「住まいサーフィン」
https://geo.8984.jp/mansion/mansion-asset/
オフィスビルのスイテにおいても、「ここで働き続けたい」とワーカーが愛着と誇りを持ち、築年数が一定期間経ったとしても、厳選された立地と高い品質をもとに、賃料水準が維持されることが数値的な分かりやすい指標になると考えています。
―小林さん
ワーカーだけでなく、街の皆さまからも「阪急阪神不動産がビルを作ってくれて良かった」「街に活気や賑わいが出た」と言っていただけるようになればよいと考えています。
当社では、古くなったオフィスビルを壊して建て直すスクラップアンドビルドだけでなく、環境配慮の観点からリノベーションへの取り組みも進めています。「エンスイテ御成門」は、「enSUITE(エンスイテ)」※の1号物件として、既存建物の良さを活かしつつ、古くなった建築設備を適切に更新し、ワーカーが必要とする機能をプラスすることで、リノベーション物件ならではの味わいと趣のあるオフィスビルへと生まれ変わりました。

エンスイテ御成門:エントランス
将来的にも、スイテ、エンスイテがワーカーだけでなく、その街にも永く愛され、生き続ける姿を見届けていきたいと考えています。
※「enSUITE(エンスイテ)」について
https://www.hankyu-hanshin.co.jp/release/docs/bbb03440f542250f146cc7e454c5d9eb6b19bc66.pdf